肉筆浮世絵の世界

Art

福岡市美術館で開催中の浮世絵の展示会へ。

浮世絵といっても木版ではなく、筆で描いた肉筆浮世絵の秀作を集めた展示会。なかでも開催前から話題になっていたのは、春画の展示があること。近年、ヨーロッパ各地で春画の展示会が開催され好評を博しており、一昨年、大英博物館において史上最大規模の春画展「春画-日本美術の性とたのしみ」が開催されたのは記憶に新しい。3ヶ月で約9万人あまりを集め、関心の高さが伺える。

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そもそも、近代以降、日本において春画は猥褻物として扱われていたので、陽の当たる場所での公開は御法度。修正無しの作品集はちらほら出版されてはいたものの、一部の人達の趣向品的な扱いの域を出ないまま、先にヨーロッパで脚光を浴び公共の場で公開される。そして、海外で評価が高まり逆輸入されるかたちで、日本でも今秋、東京の永青文庫において本格的な春画展が開催される運びとなった。

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そんなか、今回の福岡市美術館での展示は永青文庫に先駆けたもの。メインの展示ではないが、公の場で公開したのは意義深い(春画:約30点/約180図)。

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春画至上最高傑作の誉れ高い、鳥居清長の「袖の巻」は噂通りの傑作だった。

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被写体は柱絵版を横使いに切りとられ、要所にのみ色彩をほどこした余白とのバランス、細い描線で描かれた表(顔の表情)と裏(性器)の表現、などなど、独特の感性に基づいた美的ダイナミズムが凝縮されている。日本的な美的感覚を伝えるときに、どんな美術品を見せる(見る)よりも、これを見せる(見る)のが一番わかりやすいような気がした。春画という括りに入れられて目に触れる機会を逸してるのは残念でならない。

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本展示会や永青文庫での春画展をきっかけに、まだ埋もれている春画が発掘されることを切に願うばかりだ。

*写真の浮世絵は「袖の巻」一部を図録から拝借しました。房事の後の男女の表情が何とも言えないタッチで描かれています。女性の脇毛の描写が高揚感と恍惚とした雰囲気を醸し出していますね。

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肉筆浮世絵の世界

場所:福岡市美術館
住所:福岡市中央区大濠公園1-6
会期:2015年 8月8日(土) − 9月20日(日)
開館:8月:AM9:30 – PM19:30
   9月:AM9:30 – PM17:30