夢Qのこどもの画集

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福岡アジア美術館で開催中の篠山紀信展を見たあと、8階の交流ギャラリーで今日から始まった「夢野久作のアールブリュット展」に行ってきた。*上の新聞は自由画を掲載した九州日報(大正14年9月15日)。

夢野久作は「ドグラ・マグラ」の幻惑的世界観で有名な福岡出身の小説家。
九州日報(現西日本新聞)の記者時代に収集した子供達の絵のコレクションが展示会の中心となっている。当時(1920年代)は大正デモクラシーの自由思想が席巻する時代。政治や文化にとどまらず、子供の美術教育にも浸透してく。そして、版画家の山本鼎(かなえ)等の積極的な運動により、先生が用意した手本の通りに描く「臨写」ではなく、子供の個性や創造性を尊重した「自由画」が全国に広がっていった。係員の方のお話によると、そんな時代の後押しもあって、福岡では児童を対象とした九州日報主催の絵画コンクールが開催されるようになる。そして、そのなかで選外になった作品を久作が引き取り、スクラップした「こどもの画集」として大切に保管した。久作は自由画のムーブメントのなか描かれる子供達の純粋無垢な絵を高く評価し、そのことが選外作品のコレクションの衝動に繋がったそうだ。

ジャン・デュビュッフェがアールブリュットを提唱する四半世紀前のことであるという点もさることながら、その先見性には、幻怪、妖麗、グロテスク、エロティシズム等々のイメージが先行しがちな夢野久作の早すぎる才能を垣間見ることが出来るのではないかと思う。この他にも久作自身の描いた絵の展示もあり、絵もうまい人だったんだなと感心してしまった(こちらは撮影禁止)。

撮影して良いか思い切って係員に聞いてみると、責任者に掛け合ってくれて、子供達の作品の撮影は許可していただいた。約100年前の小学生が描いた絵は、それまで、お手本を忠実に描くことしかできなかった子供達のものとは思えない、独自のタッチで色彩豊かに様々な対象が描かれている。展示作品は全部で101点。全部の作品を見終わる頃には、コンクールに落選しそのまま破棄される運命だったものを、自分の手元に置いておきたいと思った久作の純粋無垢な気持ちに共感していただけるのではないかと思う。


夢野久作のアールブリュット展

場所:福岡アジア美術館 8F交流ギャラリー
住所:福岡市博多区下川端町3-1 リバレインセンタービル7・8階
会期:2017年 2月9日(木) − 2月14日(火)
開館:AM10:00 – PM20:00