ガラクタ百科

Art, Books

府中市美術館で開催されていた「石子順造的世界 美術初・マンガ経由・キッチュ行」に行けなかったからと言うわけではないが、最近、石子順造が亡くなった翌年に出版された彼の著作「ガラクタ百科 身近のことばとそのイメージ」を読み返してみた。

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あらためて思うのは石子の取材対象の多様さ。
何でもないというか、むしろ日常の中でもどちらかというと気にもとめられず忘れ去られているような「ガラクタ」に着眼し、執拗なまでに、丁寧にその歴史をさかのぼり解説・評論している。今でいうならば “ウキペデイア アウトサイド版” といった感じか(笑)。しかも、昭和40年代にすでに「キッチュ」という概念で体系化してしまっている。

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そして、彼の偉業は時間を経て現代の文化に確実に影響を与えていて、個人趣味をおもしろがる現在のサブカル的スタイルは、石子流の事象を捉える眼差しにならうことで確立してるように思えるのである。

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「ガラクタ百科」の最後に、我々の深層に潜む美意識を発見する上で欠くことの出来ない理念が記されていた。

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” 民衆の生活の中に伝わるものとかたちは、生活者のことばとイメージが微妙に呼応して同一化され共存している。そしてパターン化されたそのかたちはパターンであることの強さを発揮している。それは与えられてある歴史や時代の重みに耐え、ひしと幸福を願いながらひたすら生きる民衆の、あいまいだが確かな実存感を、わずかに写しだしているにちがいない。”

石子順造